『たとえ』シリーズ







「好きだよ、冬香」

 そう言った兄は、私の知らない男だった。



 近親相姦のためご注意下さい。








たとえどんなに辛くても、私が選んだ道だから
      「お前が好きだからだよ。……冬香」
      そう言った兄は、私の知らない男だった。


たとえどんなに辛くても、君が傍に居るのなら
      「お前が好きだからだよ。……冬香」
      それを聞いた妹の顔は、俺が見たことのない、女の顔をしていた。


たとえどんなに背きとも、二人の幸せなのならば
      まったく、どれだけ鈍いのかしら。
      娘視点です。


たとえどんなに罪深くとも、逸らせぬ思いがあるのだから  
      ごめんね、ごめんね、ごめんなさい。
      だけど、この胸の中でうごめく曖昧な感情も、ひとつの愛なのだ。











Copyright(c)2005-沢野いずみ, Inc. All rights reserved.