おやおやおや、君、どうかしたのかい?
え?よく眠れない?
そうかそうか、では、少々私と話をしないかね。
さあ、暖かいミルクを淹れたよ。今夜は寒いからね。
さて、早速話をしよう。
ん?物語でも聞かせてくれるのかって?
いやいや、私は君と一緒にお話をするんだよ。
なぁに、ただ私は聞きたいことがあるだけなのだよ。
なにかって?じゃあ尋ねよう。
君は『世の不条理を受け入れる者』と、『何も知らずに笑っている者』、どちらが幸せだと思うかね。
笑っているのならそちらが幸せじゃないかって?
さて、本当にそうだろうか。何も知らない愚か者は、幸せだと言えるのだろうか。
では、受け入れられる器を持つ者はどうかって?
さて、本当にそうだろうか。全てを悟っている者は、幸せだと言えるのだろうか。
おやおや、そんなに悩み込まないでおくれ。暖かいミルクでも飲んで落ち着こう。
ああ、もうこんな時間か。君が起きてしまう時間だね。
さあ、もう帰る時間だよ。君は今日のことを夢だと思うだろうね。
なぜ?それはこの扉を開ければ分かるさ。さあお行き。
ん?その前に答えが知りたい?
それは困った。私も正確な答えは知らないのだよ。
では、私としての考えでいいだろうか。
『世の不条理を受け入れる者』も『何も知らずに笑っている者』も、どちらも不幸せであり、幸せであるのではないか。
意味がよくわからない?それでいいのさ。
さあ、早くお行き。
ああ、帰った君には会えないから、今言っておこう。
「おはよう、いい夢は見れたかな」
夢の問い跡
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