今日からよろしく御兄妹! 21





「春だ春だ休みだ休みだ花見だ花見だいやっほー!」
「何で兄さんは無駄にテンションが高いの? 血圧大丈夫? もう死ぬんじゃない?」
「何で妹はいつも俺に冷たいの。ああ、そうか、「本当はお兄ちゃんのこと好きだけど、素直になれないの……」ってやつだな! ふふ、可愛いやつめ」
「素敵な自作自演ありがとう。ぶっ飛ばす」
「わー、ちょっとやめてやめてやめて! お兄ちゃんなりの春のジョークです!」
「ジョークに季節なんて関係ないっていうか今のはジョークでも何でもないからぶっ飛ばす」
「待って! それはいったいどういう原理!? ジョークなら可だったのか!?」
「いや、兄さんて時点でどれも不可」
「理不尽なー!!」
「遺言は?」
「生きたいです」
「叶わなくて残念だね」
「いや、俺生きるよ! 最低でも70までは!」
「うわあー、微妙」
「いや、動けなくなる前には死にたいなと」
「私は年金取るだけ取って死んでやるわよ」
「……本当に、いつでもどこでもリアリティーな子」
「素敵な褒め言葉をありがとう」
「ところで話戻すけど、春ですよ妹」
「そうですねー」
「あんま俺と話す気ないでしょ、妹」
「そうですよー」
「さりげなく肯定したー!」
「いいから話すならさっさとしなさい」
「ごめんなさい。そしてあれだ、春といえば桜だ!」
「そうですねー」
「そして花見だ!」
「そうですねー」
「なのに、俺は行けないんだ!」
「何で?」
「春といえば桜、桜といえば花見、そしてもうひとつやってくる、そう花粉症だぁぶえっくしゅん! べらぼうめえ!」
「どこの人?」
「花見を楽しみにしていたのに! 春のちくしょう、目が痒い!」
「ご愁傷様」
「俺のは、な、みぃー! べっくしゅん!」








「さあ、僕達は花見に行こうか」
「おみやげに桜の花びらを瓶詰めしてきましょう」







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