今日からよろしく御兄妹! 19
「ハッピーハロウィンー!」
「はい、お菓子」
「まだ言ってないのに!?」
「その格好してわざわざ私の部屋にくるだけでわかるっての」
「俺のいたずら計画が!」
「だからお菓子を前々から用意してたんじゃない」
「俺そんなにわかりやすかった?」
「それはもう。わざわざ居間で吸血鬼の衣装作られたら無言の圧力感じるわよ」
「……いたずら、したかったのに……」
「そういうのはいたずらできるぐらいの知能を養ってからになさい」
「それひどくない!?」
「別に、本当のことを言っただけ」
「俺そこらの悪ガキ以下ってか! いたずらすらできない幼稚園児ぐらいの知識ってか!」
「意外と自分のことわかってるじゃない」
「うれしくねええええ!!」
「褒めてあげてるのに」
「それは妹にとっては褒め言葉なの?」
「うん、兄限定の」
「俺限定のイジメ言葉?」
「うん」
「今褒め言葉って言ったのに!」
「いや、本人がわかってるならいいかあって」
「よくないよ、それが一番よくないよ」
「まあ、それはいいとして」
「だからよくないって!」
「Trick or Treat!」
「は?」
「お菓子くれなきゃいたずらするぞ!」
「いや、訳せとは言ってないよ」
「だからお菓子」
「いや、俺いたずらしようと思ってたから」
「五秒以内に持ってこなきゃいたずらしまーす」
「それ不可能じゃない!?」
「いーち」
「何その構え、それいたずらって言わないいたずらって言わない世間では暴力って」
「にさんしごはいドギューン」
「ドギュンって何ー!!」
「ハロウィンらしいっていうからしくないっていうか、あれハロウィン?」
「二人にとってはそうなんじゃないかしらねー」
「いや、あれ二人にとってはっていうか紀子ちゃんの中のハロウィンでしょ」
「そうね。と言う訳で五秒以内にお菓子を」
「やっぱり親子だよね!」
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