今日からよろしく御兄妹! 17





「重大事件だ妹」
「へー」
「…………」
「…………」
「…………」
「…………」
「……何?って訊いてくれないの?」
「なぜ訊かなきゃいけないの」
「だって、ほら、ねえ?」
「だってもほらもねえもない」
「……今日も冷え冷えしてるね」
「最高の褒め言葉をありがとう」
「ってそうじゃなくて!重大事件なんだ、妹よ!」
「うるさい邪魔」
「……でも重大事件で」
「じゃ、ま」
「……いいよいいよもういいよ」
「わかればいいのよ」
「もう妹なんてどうでもいいもん。かまってあげないもん。貢いであげないもん。テレビのチャンネルゆずらないもん。宿題見てもらわないもん。買い物とか一人が寂しいからって連れ出さないもん。もう妹と関わらないもん。

   あ、でもおやつとご飯は出してね!」

「私にとってはこの上ないほどの好条件だけど、結局何が言いたいの?」
「聞いて聞いて聞いてよぉー!」
「はじめからそう言いなさい」
「たまには妹に頼んでほしいじゃないか」
「あーそうですかーへー」
「ひどい!棒読みんな上に馬鹿にした笑いはやめようよ!」
「で、重大事件って?」
「ああ、そうだった!」
「何?忘れてたの?じゃあ重大じゃないね。部屋に戻るわ」
「待って待って待って話すから待って!」
「はいはい、で、何?」
「実は……



  俺のケーちゃんが行方不明になったんだ」



「…………」
「…………」
「…………」
「…………」
「……ケーちゃん?」
「そう、ケーちゃん。俺の4歳の頃からのお友達(お目目くるくる可愛いカエルのお人形。年代物で少し汚れてるのが玉にきず)が昨日の晩から行方不明なんだ!」
「…………」
「どうしよう、もしかして昨日のゴミに出されたのかな?なあなあ、妹、どっかで見た?」
「…………」
「母さんは父さんの出張に今朝ついていったから、今頃電車だろうから確かめられないしなー」
「……兄さん」
「ん?どうしたそんないい笑顔して。はっ、さてはケーちゃんの居場所を知っているのか!?」
「兄さん」
「どこなんだ?俺の可愛い可愛い可愛いケーちゃんは」
「兄さん」
「なんだい妹!」






「死ねば」








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