今日からよろしく御兄妹! 06





「今日〜は何の日、ひな祭り〜」
「なんか混じってる、なんか混じってる」
「ひな祭りだ、妹よ」
「そんな事は分かってる」
「と、言う訳で、雛人形を買ってきた!」
「どんな訳」
「ひな祭りな訳」
「あ、そう」
「で、これがその雛人形だ!」
「……そうだね、雛人形だね、うん、立派な雛人形だ」
「だろだろ?妹褒めて〜」
「馬鹿野郎」
「ぶふっ!いったー!アッパーかっ!そこでアッパーがくるか!どこで鍛えてるんだ!その無駄にある筋肉はどこで手に入れてるんだ!?」
「無駄とは失礼な。これは私が丹念込めて鍛えたんです」
「胆を込めて鍛えた?」
「違う。あんたのは絶対読み方と意味が違う」
「それよりっ、気に入ってくれたか!?妹よ」
「いや、それより何故雛人形のお雛様一体なのかを訊ねたい」
「高いんだよ、雛人形は高いんだよ」
「まあ、高いな」
「だろ!?バイトじゃそれで手一杯で」
「バイトして買ったの?これ」
「おう!」
「……………」
「……………」
「……………」
「……………妹、そんな冷めた目で見るのやめてくれないか?」
「……バイトしてまでこれ買ったの?」
「おう!」
「何で?」
「だって女の子には必要かなー、と」
「は?」
「これもそれも、妹を思ってこそ!」
「……兄さん」
「な、なに?」
「貰っといてあげる」
「ほ、本当か!?」
「うん」
「うわーい!義母さん、妹が貰ってくれたよー!」
「いちいち報告に行くなっ」
「うわーい」








「孝彦って、なんだかんだとイジメられても、結局紀子ちゃんの事好きなんだよね」
「紀子ったら、モテモテね〜」
「いや、そういう意味じゃなくてね……あれ?いいのか?あれ?」
「うらやましいわぁ」
「……なんかもうどうでもいいや」




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