今日からよろしく御兄妹! 04





「節分だ妹よ」
「そうですね馬鹿兄貴」
「というわけで、豆撒きをしようと思う」
「へぇー」
「…………」
「…………」
「……一へぇ?」
「うん」
「ひどっ! せめて三へぇぐらいでもいいじゃないか!」
「うわー、欲がねぇ」
「それはそうと、ほれお面だ」
「いきなり何を。てか、何で私に手渡すの?」
「もちろんお前が鬼だからだ」
「胸張る意味がわかんない。なぜ私が鬼かもわかんない」
「何を言うか。お前以上に似合う奴なんかいないぞ」
「……お兄ちゃん」
「な、なに……?」
「いいよ。やってあげる」
「え、まじ……?」
「うん。ただ――」
「ただ?」
「私はこれで反撃するから」
「え、ちょっと待って、なにそれ。いやに銀色に光って小さいけど豆には見えそうにないそれは何?」
「見ての通り、パチンコ玉」
「ちょっと待てー!? どう考えても豆より痛いだろ!? 何で鬼より痛い目に遭うんだよ!」
「何言ってんの。鬼が人より悪いのは当たり前でしょ。って訳で、鬼は人が投げる豆より攻撃力の高いものを投げるんです」
「聞いた事ないからそんな話!!」
「当たり前。私が今作った。はい、行きますよー。それ、鬼は内ー、兄は外ー」
「今作ったって……てか、掛け声が明らかに違うー! わ、いたいたいた! ちょ、待って……! ほんとに勘弁して、謝るから! い、でででで!」
「はいはい、どんどん投げるから逃げなよ。そーれ」
「いたたたたた! やめてくれー!!」
「家の外には出ないでよ。そしたら今度はダンベルだから」
「えええ!? 言ってる事とやってる事が違うー!?」








「俺、だんだん息子が可哀想になってきた」
「そうねぇ。結婚したらあんな風に尻に敷かれるのかしら」
「ごめん。ありえすぎて笑えないよ」




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