会話1

「泣きたい……」
「泣けばいいじゃないか、さあさあさあ」
「あんたに笑い飛ばされるために?」
「あははは。……いや、まさか、そんな」
「笑ったよね、笑ったよね、今笑ったよね」





会話2

「今日はよき日だな。そう思わないかね。ああ、木の葉もあんなに飛んでるよ。実に季節感がある」
「そうですね」
「子供たちもあんなに元気で……イヤー昔が恋しくなるね」
「そうですね」
「…………ところで少しばかりお金を」
「貸しませんよ」





会話3

「私、好きな人がいるのよね」
「は?」
「だ・か・ら! 好きな人がいるって言ってんの!」
「俺の耳が悪くなったみたいだ」
「何ですって! 私が誰か好きになっちゃいけないって言うの!?」
「そうだよ」
「なんでよ!」

「お前が動物以外好きになったことないからだ!!」


「……」
「……」
「……今回は動物似の人間よ……」
「やっぱりか!!」





会話4

「……ねえ」
「んー?」
「何でこいつ私に引っ付いてるわけ?」
「さあ。どうなのよ?」
「お前よりこっちのほうが抱き心地いいから」
「だって」
「お前、彼女なら怒れよ!」
「いや、別に気にしないし。あ、あたしもう時間だ。帰るねー」
「またなー」
「このまんまで帰えんのかよ!? お前の彼氏だぞ!」
「えー。もういらないし。あげる」
「だってよ」
「お前らダメダメだぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」





会話4

「俺の悩み聞いてくれるか?」
「聞いてくれというのなら」
「聞いてくれ」
「素直だな」
「俺さ、四歳で孤児院に入れられたわけよ。母親が『今日からあなたは私の子じゃないの』って言って、俺が『いやだ』って言ったらあの人、『だって、あなた可愛くないんだもの』って言われたんだけど、それを本人に直接言うのってどう思う?」
「可哀想だと思う」






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